ウォルトが手掛けた最後のプリンセス映画、「眠れる森の美女」。
「主人公なのに、オーロラ姫のセリフが少ない」「ストーリー性の希薄さ」など、公開当時は評価が分かれる作品でもありました。
しかし、ウォルトが「これまで作った中で、最も美しい作品」だと語ったよう、クリエイターたちが心血を注いだ絵画のような美しい作品です!
今回は、本作の制作秘話と作品の魅力について改めて、まとめていきます!

制作秘話 ディズニー至上、最も美しい作品な理由
1950年に制作がはじまり、6年と600万ドルを費やし、当時のディズニーの長編アニメ映画の中で最も製作費がかけられています。
ウォルトはこの頃、ディズニーランドの建設の指揮に忙しく、なかなか制作サイドに積極的にかかわれなかったといいます。
背景と色彩の緻密さ
なんといっても、本作で目を引くのは、背景の緻密さではないでしょうか。
森のシーンでは木々の細部に至るまで、こだわりをもって描かれているのがわかります。
また、木漏れ日が指し、光の加減が絶妙に表現されています。
背景と色彩を含む全体的なプロダクションデザインを担当したのは、アイヴァインド・アールという人物です。
「この映画を唯一無二の作品」にしたかったウォルトは、彼をプロダクションデザイナーに任命。
アイヴァインドは、それ以前のディズニー作品とは根本的に異なる、抽象的な描写とリアルな描写を融合させ、オリジナルの世界観を確立させました。
クオリティの追求
現場には300人以上のアーティストと技術者がいて、ウォルトは1コマ1コマを「独立した芸術作品」にするよう指示しました。
たとえ時間がかかっても、クオリティを追求したのです。
キャラクターのスタイルは実に複雑で、鉛筆の線の太さに至るまで厳密に指定があったといいます。
精巧にデザインされたブライアローズの場合、アシスタントアニメーターたちは、1枚のアニメーション画を描くのに丸1日かけていました。

想像以上に、慎重な作業から生み出されていたのですね!
また、アイヴァインドが選んだ宝石のような輝く色を出すために、添加物を使って新しい色合いを作り出しました。
今までのアニメーション技術に、クリエイターたちの芸術性が加わり、まるで動く絵画のような仕上がりになっています。
オーロラ姫の美しさの秘密
登場する時間がなんと18分という短さのプリンセスですが、圧倒的に美しく印象に残る歌声を持っています。
私自身子どもの頃、一番初めに憧れたプリンセスでした!
モデルは、オードリーヘップバーン
オーロラ姫は、なんと、オードリーヘップバーンがモデルになったというのをご存じでしょうか。
3人の妖精から、類まれなる美しさ、美しい歌声を贈り物として授かったオーロラ姫は、真に愛される美しい姫でなくてはなりません。
しなやかで細身の、当時の新人映画スター、オードリーヘップバーンがトム・オレブがデザインした最初のブライア・ローズに影響を与えました。



視聴者の期待を裏切らない美貌・・・!
美しい歌声
登場する時間が短い分、印象に残る圧倒的歌声の美しい人物でなければなりませんでした。
声優を務める、メアリー・コスタは、ウォルトが3年かかって見つけた逸材。
彼女は2年間有名なプロデューサーと仕事をしていなかったといいますが、ウォルトは彼女をキャスティングしました。
本作は、彼女にとって大きな転機となった作品であり、その後、オペラ歌手として成功し、世界中のオペラハウスで公演するなど大活躍でした。
美しい音楽
作中の音楽は、1890年チャイコフスキー作曲のバレエ音楽「眠れる森の美女」をジョージ・ブランスが編曲したものが使用されています。
そのうち、一番有名な曲「いつか夢で」は、「ワルツ」というバレエ音楽を元に生まれたもの。
「いつか夢で」を森で王子様と歌い踊るシーンは、軽快で優雅で楽しくなりますよね!
ジョージ・ブランスは、1958年の9月8日から11月25日にかけて、ベルリンで楽曲のレコーディングしました。
ベルリンでは、最新式の6つのチャンネルを使ったステレオ録音できる機器がそろっていたためです。
第32回、アカデミー賞ミュージカル映画音楽賞にノミネートされました。
まとめ
「眠れる森の美女」の制作秘話と作品の魅力をご紹介しました。
公開当初は興行的に失敗し、多くの従業員が解雇されてしまいますが、再公開は成功し、徐々に評価された作品です。
ウォルトがほぼ不在の中、クリエイター同士で意見の食い違いなどもありながら、ここまで形にできたのはすごいですね!
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